旧友とのおしゃべり半年ぶりくらいに友人から電話が来て、たまたま格別の用がない日だったので、久しぶりに会うことになった。 彼女は冬になると精神的に落ち込む癖を持っていることもあり(それの傾向は私にもある)、 冬季間は体重増加、夏になるとスリムになる傾向がある。 複数の持病もあるため、健康には随分気をつけている人でもある。 また、若い頃から色々と苦労したこともあり、 子育て中にキリスト教系の宗教の信者になった。 このように、彼女はとてもマジメで、 何事にも一所懸命取り組むタイプなのである。 とても陽性に見えるのだけれど、 そのように努力して振舞っているともいえる。 一時期は、何かにつけ自分の信じる宗教とからめて話をするので、 ちょっと距離を置いたこともある。 だけど、勧誘の一歩手前で自制していることがよくわかるし、 「宗教は必要な人にはなくてはならないものだけど、それがなくても生きていけるあなた(私のこと)のような人には、必要がないものね」 とも言ってくれている。 私に宗教が必要ないかどうかはさておき、 彼女には今も生きる指針・基軸であることは確からしい。 信仰を持つ人に対して私が善いものを感じるのは、 そのマジメさや謙虚さである。 神仏の前では人間なんてちっぽけで無力なものだと思っていることに、 私はまず好感を持つ。 私などはその「謙虚さ」に欠けていると、 彼女のような人を前にすると反省させられることが多いのだ。 反面、その謙虚さが災いしているのではと思うこともある。 今日の話の中で、今、彼女がある健康食品にはまっていることを知った。 もとより彼女は 私がそのようなことには乗ってこない人だとよーく知っているので、 「自分の最近のこと」として話をしてくれたのだ。 二年ほど前から体調不良が続き、耐え切れず病院に行ったら{ 「手術が必要」と言われたという。 しかし、身体にメスを入れることがとても怖かったので、 以前から進められていたその健康食品を「ダメモト」で試してみたら、 これが劇的に効いたのだという。 それで彼女はすっかりその健康食品の信奉者となり、 今は体調が悪いと言う人に積極的にお勧めしているらしい。 私が以前から「更年期障害」らしきことが続いていたことを知っていた彼女は、 「最近はどう?」と聞いてきた。 ・・・ムム・・、そうだったか。 幸いなことに私の更年期障害様のものは、昨年あたりから軽減している。 過剰なストレスもないし、 今まで生きてきた中でも一番心身ともに安定していると言える。 だから、「今は絶好調よ。だから、私はいらないから」と 自然に言うことができた。 彼女も「それは良かったね」と深追いはしなかったが、 私はちょっと気になって、その健康食品を誰かが買ったりしたら、 彼女にメリットがあるのかどうかを聞いた。 するとやっぱり、私の想像の通りのようだった。 その食品の値段もマージンの割合も聞かなかったけれど、 少しはお小遣い稼ぎにも繋がるようだ。 まあ、健康食品だから実害はないのだろうけれど、 もしも体調不良で悩んでいて親しい人から勧められたら、 断りにくいだろうな・・とも思う。 本人は良い物を勧めているだけで強制まではしていないのだから 何も悪いことではないと考えているようだが、 天邪鬼な私はやっぱり引っかかってしまう。 話の中で私は、 「あなたにとっては、本当に良かったね。でも、他の人にも劇的な効果があるとは限らないじゃない?」というと、 「それはそうよ。だから、無理強いはしないの。自分の体験を話しているだけ」と言う。 まあ、その程度なら大丈夫だろうと思いつつも、多少の危惧は残る。 さて、その後話題は、共通の友人・知人の噂話となった。 同年齢の知人が「アルツハイマーらしい」ということは、 私も以前耳にしていた。彼女の話でも、それは事実らしい。 アルツハイマーなのか、他の病因による「痴呆」なのかは確定はしないが、普通では考えられない言動をしていることは確からしいし、 昔なじみの人がわからなくなったりすることもあるらしい。 私も、町で出会って挨拶をされて、 誰だかわからなくて困ることが何度もあるので、他人事ではない。 しかし、少なくても長い付き合いのある人はわかるし、 少なくても三回以上親しい会話をした人なら、名 前を思い出せなくても「どこのどんな人」かくらいはわかる。 でも、そのようなこともどんどんわからなくなっていくということは、 どんなに不安なことだろう。 祖母がボケていくプロセスを見ていた私は、 その時の不安や焦りの一端は想像がつく。ましてや、まだ50代なのだ。 自分がそうなっていったなら・・と考えると、 想像することも怖いくらいだ。 しかし、このようなことは、天災のようにやってくる。 少なくても今の私は、まだこのように日記を書いたり、 他の人と意見のやりとりも可能だ。 感謝しつつ、多少の困惑があったとしても、 色々な人との出会いを大切にしたいものだと思う。 (2004年03月09日 ) |